2014年7月7日月曜日

7月3日利根川下流域

とりはんのIです
先日の印旛沼に気をよくして、さらに足を延ばして利根川下流域へ行ってきました。
さすが千葉県北東部……遠い。早稲田から三時間ほどかかった。八時半過ぎ、現地着。
狙いはオオセッカ
世界で極東のみに分布する非常に貴重な鳥。私は以前、青森県に行った際に見たことはあるが、今度はじっくり観察したい。コジュリン・コヨシキリといったほかの草原性の鳥も見たい。
河川敷に出ると、オオヨシキリの囀りがあたり一面に響く。ガイドブックには「オオセッカ、コジュリンは必ず見れる」とかあったけど、さっきからオオヨシキリしか鳴いてなくね???
それに、ただただ河川敷とアシ原が続く。どこへ行けばいいのだろう。少し焦る。でも、まだ現場に来てから数分しか経ってない。気長にオオヨシキリから探す。
上空をアマサギが通過する。夏羽でオレンジ色が美しい。首を縮めた飛翔時の、首の“余り”部分が大きく出るダイサギとは違い、こちらは首が短い。
アシの上にオオヨシキリがいる。だが青々と生い茂ったアシ原にいて、聞こえる数ほど見つけられない。遠くのアシに小鳥が止まっている。ズームする。
コジュリンさんきゅーーー!!!!!
遠いためオオヨシキリの爆音にかき消されて声は聞こえないが、コジュリンの♂夏羽だ。これならアシに止まる小鳥をじっくりスキャンすればほかの鳥も見つかるかも。
つづいて発見したのはコヨシキリ
眉斑・過眼線・頭側線がはっきりしていて、引き締まった顔の印象。オオシシキリに見慣れているとよりスマートであっさりした色調が目につく。口の中は黄色っぽい。
だが、こちらも遠い。
そんな中、アシ原の上を見覚えのある軌道が飛んだ。
オオセッカさんきゅぅーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!
アシ原の中から「ヂョヂョヂョヂョヂョヂョヂョ」と鳴きながら上に飛び出し、上空で囀ってそのまま囀りつつアシ原に降りる。気が付けば、あちこちで独特の囀り飛翔が繰り広げられている。だが、降りたところはなかなか見られない。一旦アシ原に入ると全く見つけられん……….
そんな中、アシ原の遠くを何かが飛んでいるのが見えた。タカのようだ。ん、翼が長い。尾も長い。すぅーーーーっつとアシ原の上を飛んでいく。
チュウヒさんきゅぅーーーーー!!!!!!!!
しなやかな羽ばたきで軽く飛び、時折短いホバリングで地上を窺っているようだ。
上・下面とも外側初列風切はノスリのように黒っぽく、下面の初列風切基部は白っぽい。下面の次列風切後縁には太く不明瞭な横帯。上尾筒は白い。上流のほうから下流のこちらへ近づいてきた。
下雨覆は茶褐色の縦斑があって暗色に見え、脇羽は横斑。次列風切下面も横斑。翼先は黒っぽく、内側初列風切と初列雨覆はやや明るい暗青灰色(日本語矛盾してるなwwww)で横斑が入っている。次列風切は外翼より暗く、鮮やかさに欠ける青灰色で横斑が入る。上面の雨覆は茶褐色~暗褐色で小雨覆から前縁、特に翼の付け根あたりは広い部分が、色の抜けたように淡色。尾羽下面は淡いベージュでほぼ無斑。尾羽上面はくすんだ青灰色だが褐色味があり、不明瞭な横斑。頭~体下面は茶褐色の縦斑があり、下半身と頭(特に下半身)は斑が密にあって暗色に見える。胸のあたりは白っぽい。遠目には上半身淡色、下半身暗色に見える。国内型♂だ。越夏個体だろうか。
初列風切と初列雨覆は比較的明るいが、全体に青みはくすんで褐色がかる。特に尾はこれが顕著。褪色によるものだろうか。
しばらくしてから一度アシ原の中に落ちるように降りた。翼を広げた状態で急降下ではないが、この前後は足を垂らしていたし、それまでの飛び方はハンティングのようだった。落ちてすぐ同じところから飛び出し、同様に少し飛んだあと上流側へ飛んでいった。
その後、オオセッカがかなりの密度で見られるところを発見した。これは丈の高い枯れアシと低めの新しいアシが混在する場所で、短いアシの先端ぐらいの高さで枯れアシに止まっている。アシに止まって囀り、飛び出して囀り飛翔し、風に流されるままのようにそのまま少し移動したところに降り、また囀り……を繰り返す。
オオセッカ
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白っぽい枯れアシを通して写真を撮ろうとすると、まるで霧の中を透かしているようだ。まともな写真は撮れないが、ここでなら近くで観察できる。
数値より大きく見える。あくまで個人的な印象だが、ガッチリして肩幅の広い印象だ。額から頭頂には細い縦斑、背・肩羽には太い縦斑があり、内側大雨覆・三列風切までこれが続く。尾はクサビ形で長い。全体に色が濃く赤味も強い。眉斑は一応あるが不明瞭で、目の後方に細い過眼線。顔に目立った模様はない。上面の縦斑がより細い個体もいた。
意外と近くまで寄ってくる。セッカでおなじみの左右の足で別々のアシの茎をつかんで止まるポーズも見られた。
ここではコヨシキリ、コジュリンもよく見られた。携帯で録音をしてみると、オオセッカ、オオヨシキリ、コジュリン、ウグイス、セッカ….と次々に声が入ってくる。セッカよりオオセッカのほうがいっぱいいる!!!!
オオセッカが割り込んできてコジュリンの録音がなかなかキマらない!!!!!!!!
なんと贅沢な悩みだ!!!!!!!
コジュリン♂夏羽
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(最初に聞こえる「ヂョヂョヂョヂョヂョヂョ…….」はオオセッカ)
ところで、コジュリンについて気になる点があった。
囀りに2タイプあるのではないか。
このまえ印旛沼で聞いた、ホオジロに似た声と、それとは全く違うテンポのゆるい「ツピ ツピ ヒン」という声だ。いずれも囀っている個体を確認しながら聞いたので確かだと思うが、これが個体差なのか、どのコジュリンもこのようにレパートリーを持っていてたまたま2羽が別々の声を出しているところに遭遇したのかはわからない。(動画に入っているのはホオジロに似たタイプの声)
ホオジロに似た声も、よく聞くとホオジロよりテンポが緩く最後だけでなく全体に音が高いようだ。
土手ではノウサギに遭遇した。いきなり草むらからダッシュしてきて近くで止まった。草むらの隙間からクリクリっとした目が見えてかわいい。突然のことで驚いたが、すぐに遠くへ走っていった。
ダイサギ・チュウサギは水田に多かった。夏羽の飾り羽を残し嘴も黒い個体や、逆にほとんど冬羽の個体もいたが、嘴は先半分ほどが黒く、基部側半分ほどが黄色い、つまり夏冬中間の個体が多かった。
ゴイサギ幼鳥が何羽か遠くを飛ぶ。先日のサンカノゴイが脳裏をよぎりドキッとするが、雨覆は白っぽい斑が各羽の先端に出ていて、特に大雨覆や中雨覆でわかりやすい。風切に横斑は見られない。
ハシボソガラスの親子、ハクセキレイの幼鳥を観察したほか、スズメの幼鳥や親子があちこちに目立った。2度目の繁殖で巣立った幼鳥であろう。ちょうどこの7月の第1週からあちこちで見られるようになった。近くの市街地ではムクドリの、主に幼鳥からなる大きな群れがいた。駅ではホトトギスの声が聞こえた。
オオヨシキリはちょっとしたアシ原でも観察でき、今まで声は聴いたことあってもその正体は知らなかった、という人もいるでしょう。そんな人もこれを機に興味を持っていただけたら幸いです。
オオヨシキリ(写真の撮影地は別)
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観察鳥種:オオセッカ、セッカ、オオヨシキリ、コヨシキリ、コジュリン、ヒバリ、スズメ、ハクセキレイ、ツバメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ムクドリ、キジバト、カワウ、トビ、チュウヒ、カルガモ、アオサギ、ダイサギ(亜種チュウダイサギ)、チュウサギ、アマサギ、ゴイサギ、カワラヒワ、コチドリ

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