2014年7月1日火曜日

6月29日印旛沼

鳥班のIです。千葉県の印旛沼に行ってきました。昨日の記事と同様、写真はありませんがご了承ください
今回の狙いは、サンカノゴイとクロハラアジサシ
サンカノゴイは国内の分布が非常に限られた大型のサギ、クロハラアジサシは比較的数の少ない旅鳥。ともに印旛沼で観察できるため、以前から行きたいと思っていた。

電車の乗継で時間をロスしたうえに(成田駅ではホトトギスの声がした)、最寄りの駅に到着早々(8時過ぎ)あたりは雨だと気付く。とりあえず駅で雨宿りし、小一時間が過ぎる……….
9時ごろから、水田地帯を通って印旛沼へ向かう。オオヨシキリ、ホオジロ、ヒバリの声がよく聞こえる。セッカ、ウグイスの声もする。
モズの雌雄が現れた。もともと羽毛の摩耗が激しいのか、先ほどの雨に濡れたのか、おそらく両方だろうがかなりしょぼくれた見た目だ。
♂  眼帯が太く広がって見え、眉斑が見えない。初列風切は褐色味が強く摩耗が激しい。尾羽も摩耗している。おそらく第一回夏羽だろう。
♀  ♂同様にしょぼくれていて、眼帯が太く広がって眉斑が見えない。
印旛沼に近づいたころ、水田からいきなりヨシゴイが飛び出した。水田で採食していて、こちらに驚いて突然飛び出したと思われ、、沼の方へ飛んでいった。図鑑などでの写真・イラストでは風切が黒っぽく、雨覆が黄褐色の2色パターンで解説されるが、大雨覆のあたりはより白っぽく、3色のパターンに見えた。
近くで見られたダイサギ(亜種チュウダイサギ)は夏羽から冬羽へ移行中で、嘴の基部側半分は黄色くなっていた。
歩いていたら茂みが突然、ガサガサと音をたてた。次の瞬間、茶色のいきものが飛び出して逃げていった。後姿をかろうじて確認しただけだが、後足、跳ね方、そして何より耳はまさしくノウサギであった。
どこへいってもオオヨシキリが多い。飛んでいる姿もよく見かける。その際、腰のあたりが淡色なのが確認できた。
沼の南方の道路の高架付近では、セグロセキレイ(たぶん第一回夏羽)が見られた。大雨覆に幼羽が見られ、風切も褐色味が強く摩耗している。腰のあたりが灰色っぽい個体。この点から♀の可能性が高いと考えられる。
沼近くの電柱に、不意にオオタカが飛んできた。近いっっ
この個体は、虹彩が黄色で頭部は黒味が強く、首のあたりはベタッと広く黒い。目より前は眉斑がほとんど見えない。一方、目から後方の眉斑は太く、後頭に白色斑がある。
初列雨覆、初列風切に褐色味があるが、上面の多くは青みがあり、体下面の横斑は細く薄め。2回フンをしたが、その際尾羽を上げたので尾羽上面が見えた。基部側は青みが強く、先へ行くほど褐色味が強い。尾羽上面の横班はかなり不明瞭。尾羽下面(静止時なのでほぼ最外側尾羽一対のみ見えた)は灰白色で無斑。足はあまり太くない。これらの点から、♂成鳥と思われる。ハシボソガラスにモビングされた後、しばらくして私の頭上を越えて飛んでいった。
沼の彼方にはコアジサシの群れが飛んでいる。かなり遠いのでここからクロハラを見つけるのは難しそうだが、ダメもとで望遠鏡を向けてみた。
ん、1羽大きいやつがいる。上面しか見えないが、全体に白っぽくコアジより明らかに大きいい。飛んでいく姿を追う。
下面が見えた。
クロハラさんきゅーーーー!!!!
体下面は灰色っぽく、腹のほうはさらに濃い。くっきりしたキャップがあり、英名Whiskered Tern(頬髭の生えたアジサシ)の通りこの2つの暗色部の間の頬の白色部がひげのように目立つ。下面が見えれば一発だが、そうでなくとも大きさで識別は容易にできた。コアジのように急降下して採食するが、ダイビングはせず水面近くで反転するようにしてすくいあげる、またはつまむようにして採食している。杭に止まっていると色で見つけられる。「ヒゲ」が目立つのは、先月(この記事書いているときはもう二月前かwww)の城ケ島で学んだ、「遠方からだと淡色部が目立つ」ということによるためだろう。
サンカノゴイを探しつつ、少しでもクロハラが近くで見えそうなところへ、とも考えて、沼の外周を半周ほど回ってみる。途中に見た水田では、セイタカシギ♀が佇んでいた。
もう少し進むと、水田からいきなり小鳥が飛び出した。かなり近いので、一瞬肉眼で見ただけでもくっきり色・模様が見えた。
コジュリン♂?!?!?!??!?!
頭部がすっぽり黒い。体には思っていたほど赤みがない。印旛沼にもコジュリンがいることは、不勉強ながらこれまで知らなかった。この次に行く利根川下流域のエリアで探すつもりでいたので、これはうれしい誤算。せっかくなので近くで15分ほど待ってみた。その間、ヨシゴイ、キジ、ゴイサギ(一瞬サンカノゴイかと興奮しかけたwww)が現れる。
出てきた。コジュリンさんきゅー!!!!
細い農道の低い草に止まって囀る……………え?????は・・・
囀りがホオジロにそっくり過ぎて腰抜かした。どうやら最後のあたりで音が上がる点に違いがあるようだが、ただでさえ「耳が腐ってる」私に両者の識別は難しい。囀る個体を確認しながら携帯のボイスメモでコジュリン・ホオジロともに録音できたが、今聞いてみてもよく似ている。朝からホオジロだと思ってスルーしていた声が実はコジュリンだった可能性、大いにある。
側胸にわずかに斑があり、脇にもわずかに褐色味があるが、体下面はほぼ無斑。大雨覆にギャップは見られず、頭は真っ黒で、特に摩耗した羽もなくきれいにそろっている。♂成鳥夏羽だ。
やがて♀も出た。こちらは背面がよく見えなかったが、頭頂・過眼線~頬の周囲~頬線・顎線は赤みのある黒褐色でかなり濃く目立つ。体下面は♂と同様で、ほぼ無斑。

そしていよいよ、サンカノゴイのポイントへ
他の場所でも見られることには見られるらしいが、アシ原を塒にしているらしい。ここはヨシゴイも多い。近くにいた方が、サンカノゴイの声を教えてくださった。
え・・・・・・・・・??????!!!!!??
ウシガエルとどう違うのか全然わからない。サンカノゴイはより低い声だそうで、その方は次々聞こえてくる声をサンカノゴイとウシガエルどちらなのか聞き分けて教えてくださるが、私には全然わからない。ウシガエルだと思っていた声は朝から何度も聞いていたし、現にウシガエルもよく鳴いている。先ほどのコジュリン-ホオジロとデジャブだ。そんな中、声だけ聞こえて姿は見えない………….

ふと気が付くと、水田の上空をでかいサギが飛んでいく
ゴイサギみたいなシルエットでかなりデカイ
逆光だが、黄褐色の地に暗色縦斑
沼には入らず、水田の上空を遠くへ飛んでいった

サンカノゴイさんきゅーーーーーーー!!!!!!!!!!

この後、アオサギやダイサギが飛ぶことがあったがサンカノゴイはこれきり現れなかった

サンカノゴイと前後して、沼ではアジサシ類が飛んでいた。遠いことに変わりはないが、他よりいくらか近くで観察できる。コアジの群れからクロハラを探す。
夏羽の個体は5~6羽いた。嘴は赤黒く、短くて太め。足も赤っぽい。上面はコアジより白っぽく見える。翼はコアジより広いようだ。体下面の濃さには個体差があり、かなり濃くて対比で「ヒゲ」が目立つ個体、腹は濃いが胸あたりはあまり濃くなく、ヒゲとの境がはっきりしない個体、そして体下面のほとんどが白っぽく、わずかに腹に暗色斑があるのみの個体までいる。換羽の進行状況や年齢が関係しているのだろうか。もっとしっかり近くで観察したい。
一方、第一回夏羽のヌマアジサシspも5羽ほど観察できた。
いづれの個体も嘴は太短く、ショルダーパッチは見られない。このため少なくともハシグロではないだろう(ハシグロだったらそれはそれで大変だwww)
上面に暗色部が比較的よく見られる個体、上面が一様に薄い灰色の個体など様々で、頭部の暗色斑もアジサシのようにキャップ状に見える個体、ヘッドフォン型に見える個体もいる。
ヘッドフォンの個体はハジロクロハラアジサシの可能性も考えられるが、遠距離からのヘッドフォンだけでは必ずしも決め手にはならず、断定はできないだろう。飛んだ時に腰が白っぽく見える個体もいたが、詳しく観察しなければ確実にはわからない。
いつかしっかり識別してリベンジしよう

多くの鳥の繁殖・巣立ちシーズンで、ツバメ、ムクドリ、ホオジロ、シジュウカラの幼鳥を観察できた。また、オオヨシキリとハクセキレイ、カイツブリは繁殖しているのを確認した。
一日中、疑問に思っていたのだが、茂みにいる鳥が突然飛び出すのはなぜだろう。人の接近とは関係なく茂みから出ていく様を、人に驚いて逃げていくのと誤解しているのだろうか。だが、人などの外敵に驚いて逃げているのなら、完全に逆効果ではないか。むしろ飛び出したことで発見できているのだし……………..
そういえばうちの近所のキジも同じだな…..

さて、今回は地元の方々にとてもお世話になりました。事前の下調べなどをロクにせずとりあえず突撃した、というような私がこれだけの成果に恵まれ、ケガひとつなく帰宅できたのは親切な周囲の方々のおかげです。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

観察鳥種:サンカノゴイ、ヨシゴイ、ゴイサギ、チュウサギ、ダイサギ(亜種チュウダイサギ)、アオサギ、クロハラアジサシ、ヌマアジサシsp、コアジサシ、コジュリン、ホオジロ、オオタカ、トビ、カワウ、カルガモ、カイツブリ、バン、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、キジバト、ドバト、シジュウカラ、ツバメ、イワツバメ、カワセミ、オオヨシキリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ハシボソガラス、キジ、カワラヒワ、ヒバリ、モズ、セイタカシギ、モモイロペリカン

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