2012年12月5日水曜日

紅葉狩り@秋川渓谷

こんにちは、前植班長のミカミです!
前回の記事にあるように植班長の役目を無事フクヤマ君にバトンタッチしたのですが、その1週間前には私のラスト企画、秋川渓谷での紅葉狩りに行ってきました!話が前後してしまってすみません・・・。遅くなりましたが、そのご報告をいたします。

秋川渓谷は都内有数の紅葉狩りスポットだそうで、下流では広い河原でバーベキューを楽しむ人が多いのですが、上流では川沿いの道や橋の上から谷川の美しい景色が堪能できます。今回は秋の景色を求めて、JR武蔵五日市駅から歩いて上流の西青木平橋を目指しました。
11月18日、午前11時という遅めのスタートで歩き始めましたが、最初はただの市街地です。おしゃべりに花を咲かせながら進んで行きましたが、気が付いたら写真を撮るために立ち止まる人と、話に集中しながらもひたすら前に進む人にわかれていたりして個性が出ましたね(笑)
 
20分ほど歩いたところからだんだん山の景色になってきて、川のせせらぎも聞こえてきました。日陰に入ると身震いするような寒さですが、景色を楽しみながらまだまだ歩きます。道沿いから向こうの山の紅葉が見えたり、景色が綺麗に見える橋が観光客でにぎわっていたり、やっぱり良いところなのだなぁ、と実感。和やかでした。十里木という地区に入り、お昼ご飯は13時近くになってしまいましたが、入浴施設「瀬音の湯」前の広場のベンチでいただきました。無料の足湯コーナーも心ひかれたのですが、人でいっぱいなのと先を急ぐのとで断念。お腹がいっぱいになったところでさらに上流を目指します。
しかしこうしてみると紅葉にもいろいろ違いがありますね。黄色のイチョウ、赤のモミジ、褐色に色づくものもいくつかあります。紅葉の進み具合も枝葉によって様々で面白かったです。
日陰が続くので寒い寒い!!指先がうまく動かなくなってきたな~、と思っていたところでやっと目的地の西青木平橋です!ここまで来るともう他の観光者の姿はなく、かなり静かでした。湿った水辺の雰囲気が素敵です。あまりうまくとれませんでしたが、サルノコシカケ類でしょうか、柄のないキノコが倒木に生えていました。橋を渡った向こうにはサザンカも。冬が来ているんですね・・・。
 
あとは来た道を引き返して行くだけですが、川を挟んで反対側のルートを通ります。引き返したのは14時半くらいで、まだこちらの道では日が照っています!暖かいです。そのせいかまだ花が咲いている空き地があったりして、往路とは違う楽しみ方がありました。
少し似ていますが、下の画像の左はハキダメギク、真ん中はコシロノセンダングサ。どちらも小さな白い花が可愛らしいです。右の紫色は秋の七草にも数えられているハギ。
 
寒い寒いの合唱さえも途切れるようになってきた17時ごろに武蔵五日市駅に戻ってきました。その時にはもうほとんど日が暮れていて、まさに晩秋を感じる一日だったような気がします。一日を通してとにかく寒い日だったのですが、素敵な景色をたっぷり楽しむことができました。一緒に活動してくれた皆さんに感謝!最後まで和やかに活動ができて嬉しかったです。
以上で報告を終わります。ありがとうございました<(_ _)>

2012年11月28日水曜日

豚鍋(植班長交代式)の報告です。

どうも、新植班長のフクヤマです。2012年11月24(土)、25(日)の豚鍋(植班長交代式)に参加して頂いた方々、誠に有り難う御座いました。一応報告までに。
俺はタケマサさん運転のレンタカーで山小屋へ、トンネルを抜けたら雪…では無く生憎の雨。残念。二番隊(電車)の方々は事故により大分遅れたようで大変でしたね。タケマサさん、運転本当に有り難う御座いました。
山小屋久しぶりに行ったけど、この時期の山小屋ってやっぱりカメムシ多い!食器、コップの中にも入ってくるし寝るときに顔の上這ってくる!でもその中で普通に寝ていたOBさんたち凄い。
植班長交代式ではこの1年間植班を頑張って頂いたミカミさんに、植班みんなでプレゼントをお渡しさせて頂きました。喜んで頂けたようで幸いです。で、なんとミカミさんにも植班みんなにプレゼントを頂きました!ビックリです!ていうか植班長の鉢巻きとかあったんですね、渡されるまで知りませんでした…早速名前書きました!
で、お陰様で無事植班長になることが出来ました。これから植班活動を盛り上げていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。皆さんからのサポートもお願いします。先輩みたいな班長になりたいな!
欲を言えばOB、4年生の方々にもっと参加して欲しかったですね、今回4年生の方はゼロだったので。忙しいのは分かってますが…来年は期待してますよ!

俺の次の班長は誰になるんだろ?今から気になる。あと12月15(土)、16(日)のクリスマスパーティ頑張ってね、新しい山小屋幹事。

2012年10月23日火曜日

山小屋35周年パーティ

こんにちは。山小屋幹事のタケマサです。
10月13、14日日に山小屋35周年パーティを行いましたので、その報告をさせていただきます。
たくさんのOB・OGの方々に来ていただき、現役も合わせて約40名の大所帯で大変にぎやかな会をおくることができました。
夕飯はチゲ鍋と鳥だし鍋を作らさせていただきました。
会食の後には、参加してくださったOB・OGの方々が一人ずつお話しをしてくださり、中でも、山小屋の建設に携わった2代目山小屋幹事の方には大変貴重な話を伺うことができました。
大きな困難を乗り越えて建てられたという経緯を知り、ますますこの山小屋を大切に守り継いでいかなくては、という気持ちが強まりました。
翌朝は写真を撮影をした後、参加者の方に寄せ書きを書いてもらい、会は解散となりました。
近況報告といたしましては、山小屋の隣の山が雪崩防止の工事のため地面が露出してしまい、景観が大きく変わってしまいました。
今年は雨量が少なく一時期は水道の水も出なくなってしまったのですが、経験豊富なOBの方々が直してくださり、無事水が出るようになりました。ありがとうございます。
これからもOB・OGの方々には山小屋を気軽に利用していただければと思います。
以上で報告を終わらせていただきます。

2012年10月6日土曜日

2012年夏合宿 ✿植班活動報告✿

こんにちは!植班長のミカミです。早いものであっという間に夏休みが終わり、後期の授業が始まってしまいましたね・・・。
大変遅くなってしまって申し訳ありません!夏合宿での植班の活動についてご報告します。
活動前の流れとしては8月3日夜から4日早朝にかけてバスに乗り、その後フェリーで5日の朝に小樽港へ到着。
植物班はお昼前に活動を始めました。
(写真がアップできずアワアワしていたのですが、どうにもならないようなのでひとまず文章だけで失礼します!)

8月5日
活動初日の5日は鳥班と一緒に天狗山の頂上を目指しました。私たちの泊った「おたる自然の村」は天狗山の中腹にあり、標高自体も532mと高くないので険しい道ではありませんでした。曲がりくねった道を歩きながら、そのそばに見られる草花を観察します。
やはり気温が低いためか、関東の低山ではあまり見かけない植物をいくつか目にしました。

ヨツバヒヨドリ/イケマ
ヨツバヒヨドリはヒヨドリのなく季節に花を咲かせるため、このような名前がついたとのこと。

朱色のコウリンタンポポは北海道でもよく見る帰化植物で繁殖力が強く、道内では「防除対策の必要性について検討する外来種」に指定されているそうです。可愛らしい花ですが、なかなか現実はシビアですね・・・。
のんびり歩くうちに1時間くらいで展望台に到着。あいにくの曇り空でしたが見晴らしはよく、街が一望できました!山の名前にちなんだ天狗の仮面があったり、リスと触れ合える公園があったりして、ここだけ少し賑やかです。自転車の大会も開かれていた様子。
少し休憩し、さて出発となったところで突然大粒の雨・・・。さいわい強い雨が降った時間は長くなかったので、鳥班は雨が弱まるのを待って一足先にキャンプ場に引き返し、植班も展望台でお昼ご飯をいただいてから下山しました。
帰りも同じ道をたどるのですが、やはり道の見え方が違うためでしょうか、行きの道では気付かなかった植物も発見しました♪

アザミ/ゲンノショウコ/ヤナギラン/アキタブキ
アザミは関東でもよく見かけますが、気温の違いで季節はややずれているようですね。ゲンノショウコとヤナギランは小さい花ですが、紫色が鮮やかで可憐な印象でした。アキタブキは関東で見られるようなフキよりも大きく育ち、1.5mほどまで伸びることもあるとか。
こうして低山で見られる植物を楽しみ、 1日目の活動は終了。

8月6日
翌日は小樽市内にあるなえぼ自然公園へ。車がなく、キャンプ場からの送迎バスもお休みだったため、皆で最寄りのバス停まで1時間ほど歩いて山を下ることに・・・。下り坂は意外と足にきますね。が、道の途中でもまた色々な植物がみられました。

ノリウツギ/キイチゴ/ギボウシ/イシミカワ
割とよく目にするような植物が多いですが、可愛らしい見た目でなごみます。三角形の葉っぱが特徴的なイシミカワは、もう少しすると(ちょうど今頃?)綺麗な青い実がつくようです。
お昼前に公園に到着。なえぼ自然公園は北海道の植生を地域ごとに再現した公園で、奥にはうっそうとした森が広がっています。お昼ご飯を食べて、いざ探索!木々の下は殆ど笹に覆われていて、歩くたびに周りがガサガサとなります。蚊もすごかったのですが、確かにこれが一番自然な森のあり方かもしれませんね・・・。

ツガサルノコシカケ/オトコエシ/ゴマナ
ツガサルノコシカケは広葉樹に着生し、幼生ほど菌が固まって分厚く膨れるとのこと。オトコエシはオミナエシと対にしてこの名前なのだそうです。他にもいくつか実や花のついた植物がみられたのですが、写真がうまくとれず特定できませんでした(涙)
住宅街の真ん中で、森に分け入っていく体験ができるのはなかなか面白いですね!こうして斜面あり、けもの道ありの公園に班員皆で体力と気力を削られつつも、2日目の活動を無事に終えたのでした。

8月8日
活動最終日のこの日は札幌の北大付属植物園に行ってみました。温室はもちろん、高山地帯やカナダのロックガーデンを再現したエリアなど様々なテーマごとにスペースが区切られており、それぞれ見どころが多い植物園でした。
まずは温室。ハスやランなど暖かいところでしか咲かない鮮やかな花が多く見られました。これを北海道でみる、というのもなんだか面白いですよね。渦巻き模様の葉っぱは「レックスベゴニアエスカルゴ」だそうです。確かに大きなエスカルゴ(=カタツムリ)みたい?

熱帯ハス/パフィオペディラム/エスカルゴ
そして高山植物のエリア。トムラウシ山の8合目を模した岩組みの造りになっているそうで、本州・北海道の高山植物が600種集まっています!北海道の気候に良く合う植物が多いのでしょうね。

カンチコウゾリナ/キキョウ/ツリガネニンジン/オニユリ
こうして並べると高山植物も結構カラフルです。(オニユリは低山でも見られますが^^;)黄色、青、白、橙、他にもピンクや赤紫など色とりどりでした。色々な花の名前プレートを見て気づいたのですが、白い花には【銀】、黄色い花には【金】の名をもらうものが多いようですね。下の2種の花は「ギンロバイ」と「キンロバイ」。名前も形も双子みたいにそっくりですが、金と銀は間違えそうもありません。

ギンロバイ/キンロバイ
他にもアイヌ族など北海道の先住民族が生活に利用した植物を集めたエリアや、トリカブトコレクションを含む草本植物エリアなど興味深い展示が多くありました。北海道の動物標本を展示する小さな博物館も併設されていて、特に入口正面のヒグマの剥製は圧巻です…。写真はありませんが、興味のある方は札幌に行かれる際に立ち寄ってみると面白いかと。
移動のほとんどがバスであったため活動場所は限定されていましたが、その中でも低山、雑木林、植物園という異なる環境で植物観察ができたことは嬉しく思います。天候による活動中止もなくラッキーでした♪
また班員、その他の合宿参加者、現地の方々の助けがあって事故もなく3日間の活動を終えることができたこと、とても感謝しています。みなさん本当にありがとうございました!そしてお疲れ様でした。
植班の報告は以上です。

2012年9月20日木曜日

山小屋35周年パーティ

こんにちは。山小屋幹事のTです。
今年は山小屋が建てられてから35年を迎えます。
そこで、10月13日19時から、山小屋35周年パーティを山小屋にて行いたいと思います
卒業してから10年のOB・OGの方々と、歴代山小屋幹事の方々には手紙を送らせていただきましたが、手紙を受け取っていらっしゃらない方も気軽に参加していただければ幸いです。
多くの方のご参加、お待ちしております。

2012年7月1日日曜日

植・鳥班合同強化活動@相模原

こんにちは、植班長のミカミです。
大変遅くなってしまいましたが植・鳥班が合同でおこなった強化活動についてご報告いたします!
私事にかまけているうちに延び延びになってしまい、申し訳ありません・・・。

去る6月17日、植班と鳥班の合同企画として相模原市藤野の桐花園にてデイキャンプに行ってきました!
本来は強化合宿として16日に出発しテントで一泊するつもりでしたが、梅雨時ということもあり天候に恵まれず、予定を変更して日帰りのデイキャンプとなってしまいました。しかし17日は爽やかに晴れて陣馬山のふもと、小川のほとりで和やかに活動することができたと思います。

11時ごろJR藤野駅に到着し、送迎バスで桐花園へ。すぐにテントを張って荷物置き場を確保します。
実はテントを張るのが初めての人も多かったのですが、手間取ることもなくあっという間に立ち上がりました!
これで合宿本番にテントを使うときも安心でしょうか?
テントが張り終わったらお昼ご飯づくり。メニューは皆大好き、定番のカレーです♪
たまねぎの青い部分を剥くか剥かないかという文化圏の違い?など雑談を楽しみつつひたすら食材を切ります。
あとはそれをひたすら炒め、ひたすら煮込んで完成です。今回の参加者は9人でしたが、1つの鍋で作れるギリギリの量ですね・・・。
主に鳥班がご飯を、植班がルーを作るような形になりましたがどちらもとっても美味しくできました!

片付けをしたらいよいよ自然観察の活動開始です。
早速アジサイを発見!しかしまだ蕾でした・・・。アジサイと言えば梅雨時の花のイメージですが、意外と咲き始めるのは遅いような気がします。
ワラビは開きかけでした。春と夏のちょうど間にいるような感じですね。
ミヤマヨメナも薄紫色のかわいい花を咲かせていました。クルミの実はまだ青く、かたい殻に覆われるのもまだ先のようです。
鳥班は同じ方向を向いて鳥を観察する様子がまたなんとなく鳥っぽいのですが・・・。何か見つかったでしょうか?

川沿いを行く道端でキイチゴがたくさん実っていました。わんさか茂った緑の中で、鮮やかな赤色が目を引きます。
シロツメクサやドクダミの花も、じっくり見るとなかなか可憐です。
民家の庭先に八重桜のような豪華な花を咲かせた木がありましたが、葉や枝ぶりを見るに桜ではないよう・・・。分かったら書き足します!
ヒラタケの一種?のようなキノコも見つけました。

植物だけでなく虫や他の動物も。尻尾のとれたカナヘビは植班期待の新人Sちゃんが捕獲して見せてくれました!
キャンプ場のため池ではモリアオガエルが毎年産卵しているそうで、卵から孵ったオタマジャクシが泳いでいます。
梅雨といえばカタツムリ!大小さまざまでしたがいたるところで見られました。
ナナフシも見られたりして、バラエティー豊かな?観察会になったと思います。

16時ごろには帰りの電車の時間が迫り、桐花園をあとにしました。
合宿にできなかったのは残念ですが、梅雨の晴れ間を存分に楽しむことができて良かったです!
「合宿」としてのリベンジで9月には箱根まで足をのばしましたが、それはまた別の記事で。
ひとまず、これで植・鳥班合同強化活動の報告を終わります。
(写真はいまだアップできない状態が続いているので、機能が復活した際に載せます!)

2012年4月26日木曜日

裏高尾採集記

$です。お久しぶりです。
書かなきゃいけない活動報告がいくつか溜まってしまっていますがとりあえず記憶が新鮮な直近のものから順に消化していくことにします。
ということで、今回は24日の虫班活動報告をば。 拙い文章ですが、お付き合いいただければ幸いです。
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4月22日

——–日曜日である。
僕はパソコンに向かって忙しく作業をしていた。
いつもと変わらぬ休日の過ごし方。
そこへ・・・・・

ポヨッ♪〟

前触れもなしに珍妙な機械音が響いた。
———-スカイプの着信。

(誰だろ・・?)

発信者はくじ先輩だった。

「おぃ」

「なんでしょうか」

「火曜暇だったりする?」

「火曜、ですか?」

「採集に行こうと思うんだ、高尾に。 朝9時から」

(————-ほう、高尾採集・・・!)

新歓ムササビ合宿が雨天中止となり行きそびれた高尾。 狙っていた虫たちがいたのに・・・。 ちょうどリベンジを画策していた折だった。

「いいですね。 行きましょう!」

「え まじで行けるの? 授業は?」

「・・・・・・ないです!」

「さすが文系だな~!! 素晴らしい!」
なぜか褒められた。 でも褒められて悪い気はしないものだ。

「ありがとうございます!! ・・・・で、他に誰か来るんですか?」

「来ないよ」

「了解です」

「うん じゃあ火曜9時に高尾駅で」

(・・・・・高尾駅??)

高尾山は年に何度も採集に訪れる、虫班にとってホームグラウンドと言ってもいい山だ。
いつも京王線終点・『高尾山口駅』で降り、すぐそばの登山道から高尾山頂上を目指す。

「高尾山口駅、ですよね?」

「いや、高尾駅だよ」

「! ・・・・・・・まさか」


「・・・・・・・・そう 今回向かうのは、高尾山じゃあなく・・・

『裏高尾』


だよ」

「う・・・・『裏高尾』・・・・ッ!!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


————————-こうして僕とくじさん二人きりの平日採集が決まった。

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4月24日

さて、約束の火曜がやってきた。
いつもなら日も昇りきったころに目を覚ます僕だが、この日はちゃんと7時に起きて支度をした。
天気予報の通り、空は晴れており、しかも非常に暖かい。 石垣島遠征以来約一カ月ぶりとなるTシャツ姿で家を出る。
京王線の車内では、遠足で高尾山に向かっているらしい小学生の集団と乗り合わせた。 彼らは高尾山口で降りるのであろう。
引率の教師とおどけあう子、座席に膝立ちになり一心に外を眺める子、友達同士他愛もない話で盛り上がる子。 見ていて微笑ましい。

(おーおー はしゃいどるね~。 そんなにパンパンなリュックを背負ってちゃ、登ってる途中でバテてしまうんじゃないのかね?)

シートに腰かけながらそんなことを考えているうちに高尾駅に到着。 予定より10分ほど遅れてしまった。
くじさんはすでに出口で僕を待っていた。 生きてて楽しいのか問いただしたくなる相変わらずの表情で階段に座り込んでいる。

「$君が遅れたせいでバス行っちゃったよ・・・」

「いやぁすみません まあ行ってしまったものは仕方ないですね 歩いて行くことにしましょう」

「はぁ・・・ そうだね・・・・」

さあ 楽し~いデートの始まり始まり~!
目的の林道まではだいたい一時間半ほどの道のりだという。
しばらく脇にぽつりぽつりと家々が立ち並ぶ舗装道路を行くが、実はそここそが裏高尾と呼ばれる一帯なのである。
『裏』、、、と言われると何やら不穏かつ妖しげな雰囲気を感じるが、なんのことはない、高尾山の裏手に位置する土地なので「裏高尾」。
つまり先だっての変なノリは、茶番である。

        
「ちょっと寄り道させて~」
そう言ってくじさんは細い道に入りこんでいった。

と言っても道なのかどうかすら判然としない。
よくわからないがついていく。・・・・
「ここだここだ」

どれくらい歩いただろうか、木がまばらに生えた人気のない場所でくじさんは立ち止まる。
そこには10本ほどの杉がかたまって生えていた。


「去年ここでコータスとパルナスがスギカミキリをたくさん採ったんだよ~」

「ここがこの前言ってたスギカミキリのポイントですか 早速探してみましょう!」

二人で杉の洞や根元などを 丹念にチェックしていく・・・・

が、いない。
あきらめかけたそのとき・・・

「あっ!」
驚いたようなくじさんの声。

「お、いたんですか?」

「うん・・・・ 死骸が落ちてた。。。」

くじさんがそう言いながら差し出した手の上には、寿命でお亡くなりになったばかりと思われる綺麗なスギカミキリが乗っていた。


「もう時期が遅いのかもね~ これは$君にあげるよ」

「俺が貰っちゃっていいんですか?」
死骸でも綺麗なものならちゃんと標本にできるので価値があるのだ。

「うん 僕もう採ったことあるから」

「じゃあいただいときます あざーっす」

その後も探索したが生きた個体は発見できず。

再び道路に戻り、先を目指す。
しばらく行くとY字路に出た。

「左の道をいくと日影沢(ひかげざわ)林道で右に行くと小下沢(こげさわ)林道だよ どっち行こうか?」

「どっちでもいいですけど、日影沢キャンプ場を一回見ておきたいんで左にしましょう」

「じゃあそうしよっかー」

未舗装の緩やかな道を登っていく。

木がたくさん生えていて、道は全般木陰になっているので涼しい。
途中、団体や夫婦連れの 、見たところ60~70代の思しき年輩の方たちが植物の写真を撮ったり観察をしたりしていた。

———-再び分かれ道にさしかかる。
・・・と、

「あれ

日影沢キャンプ場の営業所、焼けちゃってるじゃん」

「え?」

右手に目をやると何やら真っ黒に焦げた木造の小屋が、というより小屋の残骸が。
よく見ると警察か消防と見受けられる制服の人たちも小屋周辺に集まってきている。

「あの焼け落ちてる建物、日影沢キャンプ場の営業所なんですか?」

「うん キャンプ場を使うときはあそこであらかじめ申し込みをしなくちゃいけないんだ
朝の電車で管理所が昨日火事になったって話してるおじさんたちがいたけど本当だったんだぁ・・・」

前の週の土日が新歓高尾合宿だったので、雨で中止にさえならなければギリギリでキャンプ場を利用できただろう。
しかしこうなってはいつ再開されるかわからない。 またこのキャンプ場を利用できる日がくるかどうか。
残念なことだ。
    


「で、分かれ道だけどどうしようか・・・ こっからは結構どっちも長い登りの道になるんだよね」

「どっちの道も行ったことないんでくじさんに任せますよ」

「う~ん。。。 なんかあれだねぇ ・・・・・・小下沢に戻ってみようか」
くじさんの目が、登りはめんどいと訴えかけている。

「・・・じゃあそうしましょうか」

「うん」

そうして、先ほどのY字路を右へ。。。
日影沢方面と打って変わって見晴らしのいい道を雑談しながら進んでいく。
だいぶ行ったところでようやく周囲の景色が林道らしくなってきた。

            
花もちょくちょく咲いているので、蜜目当てに来る虫を狙って網で花を掬いながら歩く。


「おっ! 入った入った! コボトケヒゲナガ入ったよ~」

「えっ どれどれ、見せてくださいー
おお! ほんとだ」

「う~ん やっぱりいい虫だなぁ 僕このカミキリすごく好きなんだ~ いやー、採れてよかった」

僕も負けじと掬っていると、やたらと入ってくるヒナルリハナカミキリに混ざって別のシルエットが!

「こっちも入りましたよー!」

「おー よかったね~」
    

すれ違う人たち(植物の写真を撮ってる人やハイキングを楽しんでいる人たち)から
「何を採ってるんですか?」
なんて聞かれたりしながら花を掬いつつ進む。

「あれ? トラ系のカミキリ採れました これなんてやつか分かります?」

「ん? どれ? ・・・・ああっ! これトガリバアカネトラじゃん!」

「ああ、名前は聞いたことあります 思ったより小さいなー そこ掬ったら入りましたよ」

「カッコイイよねー しかもこの時期しか採れないらしいんだ 季節物はぜひ押さえておきたい 僕が今日一番採りたいと思ってたカミキリだよ」
くじさんが心なしか物欲しげな眼で僕の獲物を見ている気がする。

「へー そうなんですか くじさんも採れるといいっすね」

「あ・・・・うん ・・・よ~し、僕も頑張るぞ~!」

———-2人きりの行進は続く。(結論から言うとくじさんはトガリバアカネトラカミキリを採ることはできなかった。)


「あああ・・・!!」
突然立ち止まるくじさん。

「? どうかしました?」

「先週と今週英語の授業の課題、出したのに提出期限に間に合わなかったの急に思い出した・・・」

「あらら、期限過ぎちゃったんですか~ あれって確か半分くらいに減点されちゃいますよね~ ドンマイでーす」

「うちの学科は期限過ぎたら0点なんだ・・・・」

「え・・・ じゃあ出す意味無くないですか?」

「うん ・・・・・ない」

「・・・まああれですよ そのうちいいことだってありますよ 多分」
ここからくじさんの放つ負のオーラがより濃くなった。

「あ シロトラカミキリ採れたけどいるー?」

「くれるんすか?」

「いいよ~ これもう採ったことあるから はい」

「あざーっす」
        

「お! 今度はコボトケの♀が採れたよ! ♀は初採集だ~」

「ペア揃ったんですね! おめでとうございます」


こんな風に歩き続けていたらひらけた場所に出た。


「ここは昔のキャンプ場跡地だよ」

「へー まだまだキャンプ場として使えそうですけど・・・」

「そろそろここらへんでお昼ごはんにしようか」

「はい 俺はその辺散策してますね」
僕は途中でお腹が減ったので、歩き食いで昼食を済ませていたのだ。

ぶらつく。 すがすがしい気分だ。
晴れ渡った空にこの暖かさ、おいしい空気にさわやかな春風、聞こえてくる川のせせらぎ、木々のそよめき。

(最高のお出かけ日和だもんな~。 気分も良くなるはずだね。 ・・・でもそのせいだけじゃない感じ。 なんだろう・・・。)

————もしかして、くじさんとデートしてるせい・・・・・・・?

(—–それだけはないな。 ・・・・・! そうだった!)

忘れてかけていた。 今が世間で言うところの「平日」であることを。
僕ら以外の人たちは授業に仕事にあくせくと精を出しているのだ。
なんと哀れな敗北者たちよ! 空はどこまでも澄み渡っているというのに!

(休日はいつだって最高だけど、それが自分限定となるとさらに輪をかけて愉快なもんだ!)

勝利の味に酔いしれながらうっとりと空を見上げると、ルリタテハやアカタテハ、ミヤマセセリなどが飛んでいる。
その他小さな虫たちが飛び交う姿もちらほら見受けられる。

(本格的に春になったんだなあ・・・・)

そろそろ全国の虫屋たちも動き始めているのだろう。
自分も頑張らなくちゃ、なんて思う。
        
    

くじさんもお昼が済んだようで、あたりをブラブラしている。
・・・・こちらにやってきた。

「これをあげよう」
なんかのサビカミキリだ・・・。

「あざーっす」

    

「もうそろそろ引き返そうか 僕は夕方研究室にもちょっと寄りたいんだ」

「わかりました じゃあ戻りましょう」
時計は2時を指している。
来た道を戻りながらまた花を掬う。
しかし行きと比べて網に入る虫の数がめっきり減っている。

「全然いなくなっちゃってるね~ やっぱり昼も終わりになってくると虫もどっかに散っちゃうんだね」

「時間帯って大事なんですね さっき掬ったばっかりだから少ないってのもあるかもしれないですけど」

    
虫が採れないのでペースを上げて歩く。
すると思ったより早く林道を抜けた。


「帰りはバスに乗ろう・・・ 僕はもう疲れた・・・」
くじさんは前日例の英語の課題に追われ一時間半しか寝てないそう。 それなのに提出が無意味だったなんて、なんとも哀れな人である。
バスの運賃は220円だという。
金欠&ダイエット中の僕は歩くことを主張したが、くじさんは決して首を縦に振ろうとはしない。 その顔には、見る者の心の琴線に触れるようなえも言えぬ悲哀の色が浮かんでいる。
しかたないのでバスで駅まで向かうことにした。
ややあって道の先にバス停が見えてくる・・・・が、ラーメン二郎ばりの行列ができているではないか・・・・。 40人はくだらない感じだ。

「・・・・どう考えても座れませんね これじゃ」

「ううう・・・ 1個前の駅で乗っとけばよかった・・・ ミスった・・・」

バスが来る。
僕ら並び客たちが全員乗り込むともうギチギチのすし詰めである。


〝車内が大変混んでおります。。。 なるべく詰めてご乗車下さい。。。 ご協力お願いします。。。〟

詰めるために右足を浮かすと、すかさずその下に足をいれられた。 これでは文字通り足の踏み場がない。
おかげさまでフラミンゴよろしく片足で立たなければならない羽目に。 変な体勢なのもあってこれが想像以上に辛い。 マジ冗談キツいッス、といった心境。
おまけに背中には猛烈な負荷がかかっている。 どうやら後ろの大きなおばさまが僕の背中を背もたれかなんかと勘違いしているらしい。 勘弁してくれ・・・・!
僕はバスの側面を正面に捉えるかたちで立っていたので、目の前には座席。そして我が意を得たりという面持ちでその椅子に腰かけるお婆さん。
背後の圧力に屈せばそこに覆いかぶさるように倒れ込んでしまうのは避けられない・・・。 そうなれば阿鼻叫喚だ。
右手には虫網を持っているので左手で吊革の鉄パイプを掴んで、そうはさせじと踏みとどまる。
左手は全ての圧力を一手に引き受ける形となり、すでに血管が浮いてプルプル震えている。

バスはまだまだ駅に着く気配がない。

(・・・・くじさんは大丈夫だろうか。)

元気のなさには定評のある人なので心配だ。 隣に目をやってみる。
するとそこには、高齢者の隙間にがっちりと挟みこまれ、力無く垂れ下がった感じで上体だけを覗かせるくじさんの姿が・・・。
開いてはいるがもはや何も映ってはいないであろう胡乱に曇った目、重力の為すがまま無為に開きっぱなしの口、バスの揺れにシンクロする首。 ・・・・残念ながら手遅れだったようだ。

(今までいろいろとありがとうございました・・・・!)

しかし、僕も僕で刻々と限界に近づいていた。 左足がジンジンと疼く。 左手の指は真っ白だ。 一人で歩いて帰ればよかったという思いがふつふつとこみ上げてくる。

本気で気分が悪くなった頃、やっとバスは駅に到着した。
転げ落ちるように下車。

「平日なのにあんなに混むなんて・・・・ 酷かったね・・・」

「考えてみりゃ、お年寄りは毎日が休日ですもん。。。 勝ち目ないっすわ・・・。
(くじさんぎりぎりでこっちに戻ってこれたんだ! よかった・・・)」

帰りの電車では2人とも泥のように眠った。
そして終点・新宿で解散。
くじさんは研究室に向かい、僕は徒歩で1時間強かけて帰宅した。
この日は(帰りのバスを除けば)総じてなかなか乙な採集になったと思う。 またいつかこういう採集をやってみたい。

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以上で報告終わりです。