2019年3月7日木曜日

ワカサギ合宿2019 -1日目-

こんにちは!生物同好会です。2月初旬に、山中湖の方にワカサギ釣りへ行ってまいりましたので、遅くなりましたがその様子をご紹介したいと思います。

筆者は普段、虫班の方で活動しており、釣りの経験はほとんどありません。しかし、冬の湖の上でのワカサギ釣りは前々から一度やってみたいと思っており、今年ついに参加することができました。

 とはいえ、せっかく山梨まで来たのに、虫捕りをしないのは勿体ない。ということで、本来の合宿の行程は1日目観光、2日目ワカサギ釣り、3日目観光のはずなのですが、主催者の前水班長に我儘を通して頂き、筆者は別行動で、1日目虫捕り、2日目ワカサギ釣り、3日目虫捕りという行程でお送りしていきます。ちなみに虫捕りのメンバーは、筆者と同じように1日目に虫捕りをしてからワカサギ合宿に参戦するKと、虫捕りだけ参加してワカサギ合宿には来ないTの3人です。


さて、冬の虫捕りといっても様々ですが、今回の目的は樹上性のシジミチョウであるミドリシジミ族(通称ゼフィルス)の越冬卵です!ゼフィルスの採卵は、あまりメジャーなものではないかと思いますが、是非ともその魅力の一端だけでも知っていただければ幸いです。

1日目は山梨県西部でクロミドリシジミとオナガシジミの卵を狙いました。クロミドリシジミは一般的にクヌギの樹冠近くの枝に産卵すると言われていますが、クヌギの大木をすいすいと登る技量は筆者にはありません。そのため、今回は伐採済みのクヌギから卵を見つけ出す作戦です。

まずは、クヌギの伐採地をさがすところからスタートです。雑木林を歩いていると、クヌギではありませんが、オナガシジミの食べるオニグルミがまとまって生えているのを見つけました。枝を手繰り寄せると…

ありました!枝の表面べたべたと産まれています。中にはこんな卵塊も。

オナガシジミの卵塊


また、ウスタビガの繭も見つけました。

本来11月ごろに羽化する蛾ですが、羽化できずに残っていました。

枯れ木の中にポツンと鮮やかな緑色の繭がぶら下がっているため、よく目立ちます。

ウスタビガの繭


目標の一つを達成し、テンションMAX。

クロミドリシジミを狙うため、場所を移動しました。

クヌギの伐採地は案外すぐに見つかりました。ところが、予想はしいていたのですが積み上げられたクヌギの枝は、どれが樹冠の枝か全く分からず、手当たり次第に探すしかありません。

30分ほど探しましたが見つからず、諦めて場所を変えることにしました。

次のポイントは、コナラの優占する林に、クヌギやトネリコなどが混ざり、ゼフィルスの餌の宝庫でした。せっかくなので、色んなゼフィルスを探してみます。

するとすぐに、コナラからダイセンシジミの卵が見つかりました。

その後、Kも採卵初参戦ながら、ダイセンの卵を見つけました。

ダイセンシジミの卵


1時間以上探しましたが、見つかったのはこれのみで、他のゼフィルスは見つかりませんでした。同じようにコナラを食べるゼフィルスでも、場所によってダイセンだけだったり、ジョウザンだけだったりと、偏りがあることが多いような気がします。どのように棲み分けているのか、それとも見つけられていないだけなのか、筆者にはまだよく分かりません…

 次は、山梨の東側まで移動し、川沿いでメスアカミドリシジミとウラクロシジミの越冬卵を探します。

都内の公園で目に焼き付けてきたマンサクを思い出しながら探しますが、見つかりません。

サクラがしばしば生えていたので、メスアカも探しますが、こちらも全く見つからず。 日も陰ってきたので、残念ながらこの日の採卵は終了となります。筆者は御殿場のネカフェで夜を明かすことにしました。

ちなみに観光組は、忍野八海という場所に観光に行ってきたようです。富士山とともに世界遺産になっているみたいですね。

観光組の様子



2日目はこちら

ワカサギ合宿2019 -2日目-

 さて、皆さん思い出して下さい。この記事のタイトルは「ワカサギ合宿2019」。ここからが本番です。

この日の朝は早く、ネカフェを5時に出発し、地面が凍るほどの寒さの中、6時頃に湖畔のドーム船の前で観光組と合流しました。さっそく船に乗り込んで釣り開始です!

ドーム船の中。暖房が効いていて、温かいコーヒーも飲み放題。


すると、なんと釣れる釣れる。

針を沈めたらすぐに食いついてくるような状況で、皆次々と釣っていきます。

しかしそんな中、なかなか成果が上がらないメンバーがいました。彼の名前はS。

(あぁ、かわいそうに。)

実は例年、釣果が最下位の人が、その年のワカサギ合宿のブログを書くという慣習があるのです。

このままでは、もう巻き返すのは不可能だろう。

きっと誰もが、少なくとも筆者は、そう思っていました。

開始直後のピークは過ぎ、皆あまり釣果を伸ばせずにいました。

そんな中、昼の1時頃でしょうか、Sが急にペースを上げて来たのです。

メンバーの多くが数を伸ばせていない中、ひとり着実に釣り上げていきます。

一時は筆者と20匹近くあったはずの差は、気が付けばもう一桁。ここから、筆者とSのデッドヒートが続きます。

ところが50匹に到達したとき、筆者は焦りからか、全く釣れなくなってしまいました。

ここで一気に試合の流れは変わってしまいました。

周りが釣れていく中、一人だけ取り残されていき、ますます焦るという悪循環。

気が付けばSとの差は10匹以上開いており、残り時間もわずかとなっていました。

終了間際、またピークがやってきましたが、結局追いつくことはできず、15時過ぎに釣りは終了しました。

見事な5連釣り。もちろん筆者ではない。


全体の釣果としては100匹を超えた人も多く、最下位の筆者も60匹を超えることができ、素晴らしい結果となりました。

釣ったワカサギは、宿の方に調理して頂き、南蛮漬けでいただきました。自分達で釣ったワカサギを自分達で食べる、至福のひと時です。

ワカサギの南蛮漬け



3日目の記事はこちら

ワカサギ合宿2019 -3日目-

 もうこの記事のピークは過ぎましたが、あと少しだけお付き合い願います…。


この日の狙いは初日にとれなかったメスアカミドリシジミとウラクロシジミ、さらにフジミドリシジミの越冬卵です。

再び向かうのは山梨県の東部。まずは初日と同様、川沿いのサクラとマンサクを探します。

しかし、またもや見つかりません。

やはりマンサクを探すには、花が芽吹くまで待ってからの方がよいのでしょうか…。

 ウラクロは諦め、フジミドリシジミを狙うためにブナの生える高所へと移動しました。

初めて来た場所でしたが、ブナやサクラがぽつぽつと生えていて、期待に胸が膨らみます。

さっそくブナの下枝を手に取ると、すぐにフジミドリシジミの卵が見つかりました!

フジミドリシジミの卵


さらに隣のサクラからはメスアカの卵も発見!

メスアカミドリシジミの卵


初めての場所でしたが、目標のうち2種類を達成することができ、満足です。まだ周囲は明るいですが、渋滞巻き込まれる前に帰るため、早めに撤退することにしました。

さて、これにてワカサギ合宿2019は終わりとなります。

筆者が体験したのは本来の3日間の合宿のうち1日だけですが、ワカサギ釣りは釣り初心者でも十分に楽しめる、素敵なものでした。

ウラクロシジミの卵は、マンサクの咲くころにリベンジしてみたいと思います。

それではワカサギをおいしく調理して下さった宿の方々に感謝の意を表し、この記事を締めさせていただきます。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


(文責:J.K.)

2018年9月27日木曜日

3年目の沖縄〜全体夏合宿2018虫班編〜

 お久しぶりです、虫班です!9月上旬、生物同好会は沖縄で全体合宿を行いました。一昨年も去年も沖縄で悪天候に迎えられ、流石に沖縄はもうやめようと言っていましたが、今年も結局沖縄になりました笑。今年もやっぱり大雨に降られましたが、過去二年と比べればかなり満足に活動できたのでその様子を写真多めのダイジェストでお送りします。


海キレイ

〜1日目〜 


 台風21号とすれ違うように那覇空港へ。今年も台風直撃の沖縄か、そもそも飛行機飛ぶのかとヒヤヒヤしました。天気予報によるとメイン活動日の明日と明後日は雨だったり曇りだったりの予報。嵐確定じゃないだけマシでしょう。予報は予報。晴れると信じます。

  昼過ぎにみんなで空港のロビーに集合。早速虫班の前日入り組が渋滞で遅刻してきました。虫班とはそういうものです。前日入りの活動の様子はまた別に書いてもらいます。この日は那覇から宿がある本島中部に移動するだけで日中は終了。
 
 支度が済んだら夜間採集へ向かいます。今年は虫班の人数とドライバーの数に余裕があり、虫班の車が常に複数あるので色々なところに行けます。僕が運転する車は南へ。下道を行ってしまいかなり時間がかかりました。
 やっと最初のポイントにつき採集開始。個人的な本命はイチジクカミキリです。非常に大きく・かっこよく・キレイなカミキリですがイマイチ人気がある気がしません。やんばるにはいないせいか、ミーハー感が強すぎるせいか、こっちに来ればそこまで珍しくないのか…。僕は尊敬する昆虫写真家のブログでこのカミキリを知って以来、ずっと見たいと思っていました。

 歩き始めると、早速後輩がやや高い位置のウロに潜むオキナワヒラタを見つけたようです。この後輩は非常に目が良く、今後も大活躍します。ただこのヒラタは位置が悪く、跳んだり登ったりおんぶしてもらったりと頑張っていましたがダメでした。

 その後かなり迷子になって、帰り道すらよく分からないまま歩いていると、数メートル先を走る黒い影を見つけました。走って追いつき懐中電灯で照らすと…




 クロイワトカゲモドキです。これが見たかった。近くに茂みがないところで見つかると観念したように硬直するので、とても写真が撮りやすいです。



ニンマリ(心中穏やかじゃないでしょうけど)


目の色は光の加減でだいぶ変わるようです


カッコイイ

 黒ベースの模様に太い尾、恐竜のような眼(イメージ)。トカゲの類はそこまで興味ないですが、これは去年見て感動したので、今年も探していました。

 しかしここではイチジクカミキリは見つからず撤退。後輩は木に付いていたヒラタを複数採ったようです。僕はアフリカマイマイが怖くてずっと下を向いていました。


べたっ


ブラーメニメクラヘビ。
 
 石段の上を高速でニョロニョロしてましたが全然進んでなくて面白かったです。初めて見たので最初は何かと驚きました。手に乗せるとスベスベ。


灯火に来ていたサビアヤカミキリ

 次のポイントに移動。街灯があるので見周りますが、イマイチ虫がきていません。さっきのポイントでもそうでしたが虫が多そうな割には街灯にあまりきていません。イチジクカミキリも街灯に来るはずですが…。
 歩いていると、切り株の上にプラスチックの板が打ち付けられたベンチ?があり、その隙間に黒い虫がスッと入っていくのが見えました。ゴキブリだろうな〜と思いつつ中を覗くと、クワガタの脚が見える。これはラッキー!と小枝で格闘すること十数秒…


ちっちゃ

 なんとも可愛いサイズのオキナワヒラタが出てきました。隙間が好きなのは分かるがこんなところにもいるとは。大アゴが太くて割と好きです。

 
 他の虫の姿はあまり見ないまま奥へ進んでいくと、良い感じの立地の街灯を発見。あ〜いうところにくっついてるんだよな〜、と見上げてみると、なんと大型のカミキリの影!しかも複数!隣の街灯と合わせると5頭前後います!
 持ち合わせのジュラルミン棒じゃギリギリ届かないので、長竿を持ってた人にお願い。しかし街灯を覆う柵にへばりついていて結構難しい!しかも眩しくて見失いやすい!格闘の末ついに網に落とし地面へ。イチジクなのか!?


イチジクカミキリでした!よかったよかった。掴むと激しく鳴きます。迫力がすごい。


ごつい

 鞘翅の黄色〜オレンジの斑紋も良いのですが何より印象的なのが前胸の鮮やかな赤紋です。地の色もシブ〜い黒でとてもカッコイイ。

 しかし街灯にはまだ何頭か残っています。みんなで採ろうとしますがこれが意外に難しく、飛んだり落ちたりで何頭かは見失ってしまいました。


追加個体。斑紋は個体差がある。

 その後も他の街灯で見かけたのですが、飛び立ったところを虫班長が空中戦で仕留めたと思ったら、リュウキュウツヤハナムグリにすり替わっていたというオチでした。



夜のオオゴマダラ。ライトをバックに。

 なにはともあれ狙いの虫が採れたので、僕はもう帰っても良いかな〜と思ったのですが、後輩に「もう一個行きましょうよ!」と言われ、僕もテンションが上がっていたので、「行くか!」と答えてしまいました。そのポイントも記録はありましたが、結果としては空振りでした。というかメンバーの過半数が疲れ切っていました。新入生にはなかなかハードな合宿の幕開けとなったことでしょう。アホなので帰りも下道を走り、宿に着いたのは4時半でした。


 余談ですが、この夜(朝?)最初にシャワー入ったルームメイトが、「給湯器が壊れててお湯が出ない!」と言って出てきました。東南アジアじゃないんだから…と思いながら浴室に行ってみると、蛇口のノブはお湯の方に回してありましたが、給湯器のパネルの電源が入っていませんでした。






〜2日目〜


 朝遅く起きて外を見てみると、雨の予報でしたがなんとか曇りでもっています。風も強いですが蝶が飛ばないほどではないので、採集に出ることに。昨晩僕らと別行動だった甲虫組は流石に僕らより早く帰り、今朝はもう出て行ったようです。今日は蝶を採るグループも二組に分かれます。僕はどうせすぐに雨が降るのだろうと思い、中部の近場のポイントへ出かけました。

 まずは山に登って見ましたが、開けたエリアは風が強く環境が一様でイマイチ。センダングサにたくさんのジャコウアゲハとシロオビアゲハ、多少のイシガケチョウやアオスジアゲハが見受けられたのみでした。ただ、シロオビアゲハはたくさんいたのでベニモン型もそこそこ見られてよかったです。当のベニモンアゲハは合宿を通してほぼ見かけませんでした。
 雰囲気のある山頂でしたが、こんな状況なので少し山を降りました。周りが高い木々に覆われてくると、蝶の種類が増えてきます。車を停めて少し歩いていると、やや高いところをもつれて飛ぶ2匹の蝶が。一見茶色の地味な蝶かと思いきや、羽ばたく瞬間に表の青がパッと光ります。コノハチョウです。天然記念物に指定されていますが、いるところにはかなりいるイメージ。採れないので良い写真が撮りたいところですが、なかなか低いところに止まりません。


嘲笑うかのようにこちらを見る

 望遠レンズが故障中なのも痛い。オンボロの一眼ではトリミング前提で撮るのも厳しい。そこかしこを飛んでいますが、低いところに止まらない・なかなか開翅しない、と根気のいる相手です。せっかく近くてもボロだったりする。


常に見下ろされる

 例の後輩は優秀なカメラマンでもあり、僕より腕も機材もずっとレベルが高いので、コノハチョウは彼に任せて僕は散歩することにしました。
 見られる蝶は豊富で、山頂にいた種類に加え、マダラチョウ類、シロチョウ類、ナガサキアゲハもかなりの頻度で見かけます。センダングサがたくさん咲いていて、多くの蝶が盛んに吸蜜にきています。少し開けた場所ではアオタテハモドキが。ここのアオタモは新鮮な個体ばかりでした。


マダラ類はあまり開翅しない

寄ると目が怖い(撮影:T.K.)

アオタモの吸蜜

 途中後輩と歩いていると、頭上高く、樹冠あたりに大きめな白い蝶が見えました。二人とも一瞬何か分からず見上げていると、蝶はすぐに近くの葉に止まり、その瞬間フタオチョウと分かりました。慌ててカメラを向けようとするも、フタオチョウはすぐに飛び立ってしまい、追いかけましたがすぐに見失ってしまいました。フタオチョウが飛んでいるところをちゃんと見るのは初めてだったので、惜しいことをしました。


シロオビはかなり多かったが、ベニモン型は数%くらい。(撮影:T.K.)


良い感じに日が差して美しいベニモン型(撮影:T.K.)


常に真っ平らに開翅するイシガケチョウ。(撮影:T.K.)


コノハチョウ半開(撮影:T.K.)


全開(撮影:T.K.)

 しばらく歩き回ったりコノハチョウと見つめ合ったりしましたが、これ以上の収穫はなさそうなので少し早めに宿に戻り、休憩。結局雨は降らず、途中日も差したぐらいでした。こんなことならもっとしっかりポイントを回るべきだった。

 宿でしばらく休んでいると、もう一組の蝶採集カーが帰ってきました。2カ所ほど回ったようで、オキナワカラスアゲハがたくさん見られたりと楽しめたようです。甲虫組も遅れてやっと帰ってきて、今度は夜間採集へ出発。その際夕飯をどうするかの話になったのですが、去年は沖縄料理orA&W(ファーストフード店)だったのが今年はA&Worコンビニ飯になったいて、あげくコンビニ飯が選ばれました。今年はやけにハード。しかし時間も大事。

 宿を出た頃は雨が降っていて心配したのですが、目的地に着く頃には止んでいました。今晩の狙いはハグルマヤママユです。昨晩のイチジクカミキリの場所へはカミキリ好きの合宿幹事が飛んでいきました。開けた場所に着いてさぁ灯火をたこう、というタイミングで僕が白幕を忘れるというヘマをしました。白幕がないと、飛来した蛾が落ち着いて止まってくれない。
 気を取り直して点灯すると、すぐにハグルマが飛んで来ました。しかも立て続けに。過去の沖縄合宿での経験を生かしたつもりでしたがこれほど目に見えて成果が出るとは。


模様がとても美しい


どう見ても翅が破けているようにしか見えない。トリックアート。

 束の間のお祭り状態でしたが、しばらくするとパッタリ飛来がやみました。時計もないのによくこんな精度で活動時間が揃うものだと感心します。虫班員は時計があるのに無理。
 ハグルマが止むとしばらく何も来ません。次はシンジュサンが多く飛来する時間帯がありますが、それまでかなり時間があるので、一旦灯火を消して林道歩きに出かけます。

 みんなでゾロゾロと夜の林道を歩いていると、またしてもクロイワトカゲモドキに遭遇。



 この林道ではこの後も何度も出会いました。やはり個体数は多いようです。
 ハブに怯えつつも地面や側溝をよく見ていると、色々な生き物がいます。


でかいカニ


ハナサキガエル


大きめヒラタ


眼縁突起かっこいい

 どんどん歩いていると、例の優秀な後輩が「ちょっと!あれ!」と何か発見。見てみると…


大きく二股に割れた木に鎮座しているのは…


イシカワガエル!
 
 なんとイシカワガエルまで見ることができました!ハブに怯えながら渓流を歩かなきゃ出会えないものだと思っていたので本当に驚きました。しかもすごくでかい。ヘタなヒキガエルよりよほど大きく、ウシガエルに迫るようなサイズでした。柄がどう見てもイシカワなのに、僕の脳内の勝手なイシカワのイメージはシュレーゲルくらいだったのでだいぶ混乱しました。


正面から


眼がすごいですね


微動だにしない

 サイズといいポジションといい様子といい、貫禄がありました。いいものが見れたと思います。
 しかしカエルはたくさんいるのにヘビをまったく見かけません。ハブは嫌だけどアカマタとか何かは見たいな、でももう疲れたな、と思いながら元気な後輩と歩いていくと、



 見られました。鮮やかな緑のリュウキュウアオヘビです。ただ、とても綺麗な死体でした。ソフトに轢殺されてしまったようです。
 灯火第二弾の時間もあるのでここで折り返し。帰りはスタスタと。


背中だけ苔むしたように緑


尻尾ぴーん


真っ赤

 灯火ポイントに帰り着き再び灯火を始めると、今度は大量のヤママユとシンジュサンがやって来ました。ここのヤママユは、前翅前縁が黄色っぽくなり、その後ろが黒っぽくなる傾向がありました。元々色彩変異が多様な種ですが、一つの個体でモザイク状に色が混じるのは見たことなかったのでとても面白かったです。


混色が分かりやすい個体(撮影:T.K.)


シンジュサンにモテる筆者(撮影:T.K.) 

 ようやくヤママユとシンジュサンも落ち着いた頃、灯火を片付けて撤収。明かりを全て消すと、ちょうど雲が切れていて星空がとても綺麗でした。南に向かった合宿幹事も、しっかりイチジクカミキリ採れたようです。


満点の星空(撮影:T.K.)



〜3日目〜
 
 翌朝目を覚ますと、どうやら昨日よりは天気が良さそうです。今日は虫班長のご意向に沿い、北部でリュウキュウウラボシシジミやバナナセセリを狙います。


オキナワヨスジシラホシサビカミキリが部屋の前の柱からお見送り

 しばし車を北へ走らせやんばるへ。


いつまでこの森が守られるか。

 林道は乾燥しており、蝶の姿はまばらです。
 道脇のコンクリの穴の底に水が溜まっており、覗き込むとシリケンイモリが10匹ほど佇んでいました。


金箔模様が水底の小石に紛れる


水中から

 途中、小さな沢に続く小径を見つけ、後輩と入って行きました。周囲は鬱蒼としており、時折陽が差し込む環境。リュウキュウウラボシシジミの好む環境はよく知りませんが、結構いい感じの場所に思えます。
 あたりを見渡していると、突然すぐ横に茶色の小ぶりなシジミチョウが!後輩と二人で慌てて網を振ろうとしましたが、あまりに近くて伸ばしていた網をうまく振れず、すぐに見失ってしまいました。まだ近くにいると思いしばらく待ったり、周囲の植物を叩いたりしてみましたが、ついに再びその姿を現さず…。あれがリュウキュウウラボシだったのだろうか…。

 諦めて林道を進みましたが、特にいい環境は無し。林道沿いはアオスジやモンキやジャコウが時折飛ぶくらい。引き返している最中、川辺におりてウラボシを探していた虫班長と合流。彼が張っていた場所もかなり良さげな環境で、それらしき蝶を一度見かけたとの事でした。
 その後みんなで先ほどの小さな沢を登ってみましたが、ジャングルクルーズ虚しく成果無し。途中、淀みの中を泳ぐ種類不明の幼蛇を見かけました。しばらく進むとにわか雨が降ってきてしまったので、急いで舗装路まで戻り、このポイントからは撤収。


リュウキュウルリモントンボ。水色もキレイだが腹端の黄色が良い。


リュウキュウハグロトンボ。翅に青の光沢が入る。(撮影:T.T.)

 その後はしばらくの間、かなりの強雨が叩きつけて採集どころではない感じ。雨の中周囲のポイントも見てみますが、かなり濡れてしまって沢周りでの活動は危険。残念ですがリュウキュウウラボシは諦めて泣く泣く下山しました。

 切り替えて、これからはバナナセセリを狙います。名前の通りバナナにつく、非常に大きなセセリチョウとのことです。バナナにつくのでバナナの木を探すわけですが、この採集が意外と困難を極めます。バナナ自体はあちこちにあるのですが、全然バナナセセリがいません。時期や時間帯もよくなかった様子。代わりに、スズメバチがやたらといる。バナナの花が大好きなようで、どの花を見てもほぼ必ずいました。
 
 しばらくあちこち移動してバナナを見て回る時間が続きます。特に進展が無いので、探しながら撮った写真のダイジェストで。


いかにも沖縄。左奥にバナナが写ってます。


一心不乱にハイビスカスから吸蜜するナガサキ♀


吸蜜時くらい翅を止めてほしい


「こっちに秘密のバナナがあるよ」


後翅基部までしっかり色が入っていて、アカタテハより好きです


後輩が土場を見てたら飛んできたサツマウバタマムシ


前翅が左右非対称…?


リュウキュウツヤハナムグリが集まる木があった


全力でがっついている

 だいぶ時間も経ち、厳しいかな…と思い始めた頃、班長がついにバナナセセリを1匹採ったとのこと!行ってみると、雑多な木々に囲まれて少し開けた一画に、バナナと班長がいました。国道沿いで見たようなキレイに並んだバナナとは程遠く、藪の中に孤立して野生化したようなバナナです。早速バナナセセリを見せてもらうと、確かにでかい。そして眼が赤い。バナナの木の化け物感をそのまま引き継いだ感じです。


翅表には黄色い斑紋がある。ますますバナナっぽい。(撮影:J.K.)

 班長曰く、バナナの木を叩くとバナナセセリが飛び出るが、一瞬で周りの藪に消えてしまうため非常に苦戦したとのこと。実際に班長が僕らの前でバナナの木を叩くと、茶色い何かがパッと出て来て、一瞬ですぐ隣の藪の奥に消えてしまいました。なるほどこれは難しい。


バナナセセリの幼虫。こいつがいる木じゃないと成虫が見つからない。(撮影:J.K.)
 
 この後追加はなりませんでしたが、かくして二種目のターゲットはなんとか得ることができました。同じ場所でナガサキの♀も何頭か得られ、各人満足の様子でした。僕がネットインしたナガサキの♀は悲しいほどボロでした。




 この夜はみんなで集まり宴会です。虫班は特に寝起きの時間が他と合わないので、同じ宿のはずなのにほとんどの人と初日以来の対面でした。虫班同士でも車が違うとなかなか会わないので、甲虫組などとは合宿始まって初めてゆっくり話しました。
 宴会が終わり宿に戻ると、車に乗り込んで最終夜の採集へ出発です。今夜は僕は再び南へ。

 一昨日イチジクがたくさんいた街灯へ真っ直ぐに向かいますが、全然いない。何匹も付いていたのが嘘のよう。時間帯かと思って合宿幹事に昨晩採った時間を聞きますが、そうでも無い様子。しばらく各自ウロウロしていると、やっと後輩が1匹捕まえました。ヌルは回避。



 みんなで一箇所に固まっていることもないので、半分ほどをここに残して、僕と班長と後輩一人で別の場所へ行くことに。
 到着して街灯を見始めますが、やはり目立って飛び回る虫はほとんどいない。沖縄の街灯採集ってこんな感じなのか。時期か。後輩としばし歩いていましたが、ヒラタや極小のノコしか見つからない。班長に電話してみると、あちらは一頭採れたとのこと。しかし場所をよくよく聞いてみると、というかすぐ近くにいて直接出会ったのですが、なんと僕たちがついさっき見た街灯で採れたとのことでした。いやぁ絶対いなかったと思うんだけどなぁ…。


班長の網についていたイツホシシロカミキリ

 しかし他の街灯はいくら見ても何もおらず。あまりいい感じの街灯がありません。もう帰ろうかと歩いていると、やや離れた自販機の前を、デカイ羽音を鳴らして低空飛行する大型甲虫が!これはもしや初めて飛んでいるイチジクに出会えたのか、と思い駆け寄って網を振ると入っていたのは…


大きなサイカブト 
 
 そりゃ羽音大きいわ…。一応まだ採れていなかったので嬉しかったですが、なんとも微妙な気持ち。結局それ以外は特に何もなく、一年生たちを置いてきた一つ目のポイントに戻りました。

 戻る道中で地面を転げ回っていたサイカブトを拾いつつ待機組に合流すると、この間の追加は1匹とのこと。正直疲労困憊でもう帰ろうと思いましたが、例の後輩に「もう一周見てから帰りましょう」と言われてしまい、正論なので同行。
 道を歩いていると、オオコウモリに出会いました。会うのは初めてではないですが、かなり近くを2頭が飛び回り、かなり迫力がありました。写真を撮ろうとするも、暗すぎてピントが合わないうちに行ってしまいました。木に止まると、真っ黒な小人がぶら下がっているようでかなり怖かったです。
 そのすぐ後、近くの木についていたまぁまぁ立派なオキナワノコギリを後輩が発見。



 僕は喜んで写真を撮ったりしていたのですが、なんとこれの二回り以上も大きなノコギリを後輩が同じ木から発見!みんな大興奮の中なんとか捕まえたそいつは…



 先ほどの個体と比べてもこのサイズ。本土の大型個体と遜色ない見た目です。ワイルドのオキナワノコギリとしては相当立派なんだと思います。赤みが強くてキレイなところがいいですね。


外国産のノコギリみたいな雰囲気

 最後にいいものが見れてよかったです。後輩の言う通りすぐ帰らなくてよかった。しかし運転する身としてはすでに疲労困憊です。この時もう一人のドライバーである班長は車で熟睡していました。

 最終夜にしてついに高速の使用を学び、班長と運転を代わりつつ無事に宿に帰投しました。


寝る前に朝焼けが見えた



〜4日目〜

 最終日です。と言っても、今日はレンタカーを返しに行くだけで合宿終了。班としての活動はありません。空港でみんな順次解散します。
 車がなくなると採集は難しいですが、空港から那覇市街へ伸びるモノレール沿いに一箇所、駅から近い大きな公園があるので、久しぶりにちゃんとした昼飯を食べてからそこへ行きました。
 公園に入ると入り口近くのベンチに見慣れた荷物がたくさん置いてあり、公園内を歩き始めると班長はじめ多くの虫班員に遭遇。考えることは皆同じでした。各自さらに虫を採ったり、写真を撮ったりしていました。一年生の一人がオオシマルリタマムシを採っていたようで、季節的に厳しいかと思っていたので嬉しかったです。僕も、採り損ねていた蝶を採ったりして沖縄最後の採集を楽しみました。


青空バックのオオゴマダラの飛翔(撮影:T.K.)

青が煌く一瞬(撮影:T.K.)


(撮影:N.T.)


(撮影:N.T.)


(文責:幹事長)