こんにちは!水班新2年、貝類支部のI川です。今回は伊豆半島へ単独でカタツムリを採集してまいりました。その報告をさせていただきます。
(はじめの方が文章のみになってしまいました・・・少し読みづらいと思いますがご容赦ください。)
<※前回の「真鶴の貝博物館にて」の記事を読んでいただいたほうが、話の流れが分かりやすいと思いますので、まだの方は、もしよろしければそちらの方を先にお読みください。>
少し専門的な用語が入ることがあるかもです。ご了承ください。
また私が採集したものは殻のみで、生きた個体は持ち帰っておりません。
(※ちなみにカッコ内<>の雑談は飛ばしていただいても差し支えはないです。)
<<まずは、前回のおさらいを含めて、軽い紹介でも。
先月の貝博物館の展示のコレクションはものすごく、私は感銘を受けました。これぐらいまでとはいかないものの、できるだけ多くの貝殻を「拾って」集めるのが現在の私の趣味であり、夢でもあります。
前回の記事の通り、私は現在カタツムリの採集にもハマっています。博物館の一角に並んだカタツムリの仲間の標本を見ると、それらを「自分の手」で是非「拾って」みたい!という衝動に駆られ、今回この旅を行うに至ったわけです。
今回の採集地は伊豆半島です。
なぜそこにしたのか?ですか。
一言で言ってしまえば、「見ることのできる種数が、(比較的近場の)関東地方の他の場所よりも多い」からです。
多くの大型のカタツムリが、この伊豆半島に集結しているといっても過言ではない。伊豆半島はまさに「蝸牛パラダイス!」だと私は思います。>>
・・・前置きもここまでにして、それでは、小さな旅(?)に、レッツゴー!!
ということで、やってきました、伊豆半島!どんな出会いが待っているのでしょうか!? 旅のスタートは東京から約3時間のとある駅前です。
駅前には、「おいでよ、伊豆。」的なポスターや看板が目立ちます。海の幸、山の幸・・・お、おいしそう!!
・・・おっと、こんな誘惑に負けてはいけない。今回の目的はあくまでも「カタツムリ」(笑)。
駅前にはバスがずらり。ただし各路線の本数はそこまで多くない・・・。え~っと、次のバスは・・・
おうっ、こんな時に腹痛が・・・。
__結局20分ほどさらに待たされました。(事実)
次に来たバスで、1つ目のポイントへGO!
走ってゆくうちに、だんだん緑がうっそうとしてきた・・・。
揺られること30分。バス停を下りて少し歩くと、川沿いの沢へと抜けられる脇道を発見!
↑ いい感じ。ここには何かしらいそうです。
さっそく、「相棒」(といっても、木の「棒」ですが・・・)を片手に、探してみます。
冬はやはり落ち葉が多いですね。どかすのも一苦労です。
出てくるのは、白化した殻ばかり。表皮が残ったものはないかなーと探していると・・・
おっ!いい感じ♪
この地は生息する種数が多いため、種を推測するのも一苦労です。
これは、「ミスジマイマイ(「シモダマイマイ」タイプ??)」ですかね。関東では最もポピュラーなカタツムリの1つです。
(分布域が重なっている「ヒラマイマイ」にも似ていますが、<殻口付近が著しく紅色に着色されている点、目立った火炎彩がある点>などから本種と推測しました。)
表皮が完全に残っています!しかも中身なし。ラッキー!
これはお持ち帰りしました。
この種はここで飽きるほど見ましたが、どうもきれいに表皮が残っているものがない・・・。
もう少し、ここで探してみます。
さらに奥へと進みガサガサすると・・・
!!
思わず声が漏れたこの大きさは4cm超!こんなに大きなキセルガイ、初めて野生で見ました・・・。手と比べると、その大きさが分かりますね。
これが、世界最大のキセルガイ「オオギセル」です。貫録十分。うっわあ、でかい・・・。ちなみにこの種、環境省のレッドデータブックで「準絶滅危惧」に指定されています。
↑殻は通常、光沢のある茶色~黄褐色の表皮をかぶっていますが、老成するとなくなっていくらしいです。この個体もおそらく老成個体でしょう。
殻口を見ると、なにやら透明な膜が見えます。
カタツムリの仲間は冬眠中に透明で分厚い膜を張り、これで外界から冷たい空気が入るのを防いでいます(膜にはとても小さい穴が開いていて、必要最低限の空気を送り込み呼吸をしています)。
そうです。この個体は生きているのです!
超、感動!!出会えてよかった・・・。
持ち帰りたかったですが、これはリリースしました。
この後、少しボロい(穴もあいている)ですが、同種の殻を何とか入手しました。
(←これは家で撮影したものです。)
次は完全な「殻」を持って帰るぞ!と、誓ったのでありました。
他にも「ニッポンマイマイ」が落ちていました。中身のいない数個を拾い、また少し移動。
しばらく歩くと、河原のような場所に出ました。ふと下を見ると、「カワニナ」(淡水生の巻貝)が大量に落ちています。
その「カワニナ」に交じって、明らかに「カワニナ」ではない別の貝も落ちていました。
・・・この種はなんだ・・・?
琵琶湖水系に生息する種に似たものはいます(調べてみました)が、分布図において、付近に生息するカワニナの仲間でこのような種は野生では存在しない様子。誰かが持ち込んで放流し、繁殖したものだと私は推測します。
(ご存じの方は「コメント」して下さるとありがたいです。)
(ご存じの方は「コメント」して下さるとありがたいです。)
カワニナの中には、死肉が入っており(「残肉」といいます)激臭を発していたものもあったようで、これを数個拾ってしまった私は「漂白剤につけて超丁寧に洗浄」というかなり手間のかかる作業をする羽目に・・・。まあ自業自得ですけどね。
一つ目のポイントはここまでにして、2つ目のポイントへ。今回は歩いての移動です。
この道、歩道が異常に狭い・・・。
常に周囲に目を配りながら注意して歩きます(カタツムリ探しどころではない!)。
車とスレスレになりながら歩いていると、歩道の真ん中になにやら「もふもふ」したものが・・・。
私はすぐに気付きました。それは、車にひかれたネコ(もしかするとウサギ??)でした。
気を取り直して、2つ目のポイントに到着。少し山沿いの坂道を登ってみます。
少しガサガサしてみましたが、めぼしいものは出て来ず・・・。少量の白化した破片ばかり。
ここでは何の種かよく分からない残骸を、とりあえず1つ入手しました。
↑殻の色が濃い茶色なのと、螺塔が少し高い(?)のが特徴だと思います。
(こちらに関しても、ご存じの方は「コメント」してくださるとありがたいです・・・。)
少しだけバスを待ち、3つ目(今回ではこれが最後)のポイントへ移動します。
揺られることさらに約40分。
バスを降り、バス停から川に沿って少し歩きます。「移動しては棒でガサガサ」、この繰り返しです。
川に沿った細い道に入り少し歩くと、端っこに何やらカタツムリらしい白化した殻を発見。
拾って見てみると・・・。
先ほどのとは少し違う丸っこい形。こ、これは・・・
間違いなく、「ハコネマイマイ」だあぁぁ!!
実は静岡にもハコネはいます。ハコネマイマイの生息環境は、「川に沿った広葉樹の幹(樹上生です)」。
拾ったこの地点にも川は流れている・・・。いるぞ、ここには。
日没まで、残された時間はあと約45分・・・。気を奮い立たせ、さらに奥へと進み、広葉樹を見つけたら手あたり次第根元をガサガサしていきます。
いくつか出てくるも、破片ばかり。最悪なものは、ウジがわいていました。まだまだぁ~!!
うぅ~、惜しい!下層のところが割れています。このカタツムリは樹上生なので、どうやら鳥に食べられたもののようですね。
裏から見たら、下の写真のように完全なものに見えはしますが。
結局、上の写真のものが今回拾った中では一番状態のいいものとなってしまいました。
まあ、見つけられただけでも今回は大収穫ですが・・・。
ちょっと雑談。(飛ばしてもかまいません・・・。)
<<あれ?博物館で見たものと少し違う??
実はこの個体、帯が2本少ないんです。帯の位置を番号に見立てて、「0030型」と言ったりします。伊豆半島のハコネマイマイはこのタイプが多いようで、今回見つけたのもすべてこの「0030型」でした。
ちなみに博物館のものは、帯がこれより2本多い「0234型」という型です。
少し分かりづらいですが、上の写真で見えている帯は「2番」の帯です。
個人的にはこのほうが好みです。名前の由来となった箱根にいるのもこのタイプですので・・・。>>以上、雑談でした。
・・・少し脱線しました・・・フィールドに戻りましょう。
もう夕暮れ間近。橋を渡ったところでガサガサすると・・・
また!!でかっ!!
さすが「蝸牛パラダイス」、伊豆半島。これだけでは終わりません。
これは先ほどの「オオギセル」と似ていますが、殻の形状から「オオトノサマギセル」という別の種だと思います。
<<「下軸版」が殻外に出ない、殻頂がやや鈍い、表皮がやや赤みを帯びている、「上板」が小さい、巻き数が少しだけ多いなどの違いから判断しました。軟体からの方が種の判断は容易なのですが・・・>>
↑これも大きさは4cmほど。大きい!!
殻皮も残ってます。ラッキー!
さらに奥へ進むと、「ヒダリマキマイマイ」の殻がごろごろ。しかし、どれもきれいな殻ではなかったので今回は拾いませんでした。
「ヒダリマキマイマイ」を5つほど見つけたところで、空が暗くなってきました。もう帰りのバスの時間です。バス停に戻る時間を考えると、今回はここまで。
その後、終バス一本前のバスに乗って駅まで戻り、帰宅しました。
伊豆半島。そこは、まぎれもない「カタツムリの宝庫」だったということを、実際行ってみて実感しました。さまざまな種を見ることができて、大満足の一日でした。
またいつか、行ってみたいと思います!
☆貝の同定についてはまだまだ未熟な者ですので、誤りがございましたら遠慮なく「コメント」でお申し付けください。
☆また、この記事での「不明な種」に関してご存じの方がいらっしゃいましたら、そちらの方も「コメント」していただけるとありがたいです。
少々長くなりましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!!
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