2013年6月28日金曜日

東北遠征

東北遠征 ―プロローグ 2/25 ―
2月25日、「ワカサギ合宿」を終え、1年同期のO山、T治と松原湖から池袋へと帰る電車をぶらり途中下車。
向かうは日野市(東京都)。なんでも、ここに「マイマイカブリ」がいるんだとか。
中央本線を沿って多摩川へと向かう。子供のとき、図鑑で見たことのある「変わった虫」。
私の頭の中にあったターゲットの情報は其の程度なのだけれど、そもそも今回こいつを採るにあたって
○ 河川敷の朽木を探す。
○ 樹皮の下とか、朽木を割った中とかで冬眠している。
この2点の基本情報を頼りに、あとは己の足任せに運任せ。 …なんだとか。
↑「いい朽木ないか…? おっ、あの川は細くて渡れそうだ。サンキュー!!」狩場を探す虫班のT治。
彼はこの後、川にカバンを流される。
我々の背丈よりはるかに大きいススキを掻き分けて、靴を諦め川を越えて、ノバラを踏み越えたその先の朽木。
樹皮をめくると大量の[アオゴミムシ]。 綺麗じゃん! とテンション上がる私を差し置く彼ら。
月が昇り、暗くなり始めたころには[ヒメマイマイカブリ](というのが正確な名前のようだ)が3匹採れた。
黒い胴体に、青…と言い切るには黒っぽい色をした首。こんな甲虫いるんですねぇ。
↑自宅でエサにありつく[ヒメマイマイカブリ]
東北遠征(3/21~3/24) 「川沿い歩いて三千里~北上!『キタカブリ』編。」
3/21
浅春の候、皆様お元気でお過ごしのことと存じます。寒さもゆるみ、一雨ごとに春めいてまいりました。桜のつぼみと共に新学期への期待もふくらみ、いつのまにか気分も春色に。そう、それはそんな軽暖の折でしたか。
「東北に行かない?」 虫班の誰かは言った。 何を採るのか知らないけれど、とりあえずついていく自分。
まだまだ寒い朝の上野駅。T治とO山という、この前とびた一文変わらぬメンバーで、寒さをもとめ一路 北へ。
電車の中でターゲットを把握、T治「東北のマイマイカブリは、綺麗なんだ。」 まさかのマイマイカブリ被りである。
いぶかりながらも買いかぶり。私は、最高潮のテンションで遠征最初の狩場に君臨する。
①『那須塩原市』(栃木県)with那珂川.
「いったい何が採れるんだろう?」 どこまでも広がる青空が気分を高揚させる。
東北本線沿いに坂を下ると、鉄橋の下、川が現れる。那珂川である。
↑「向こう岸に行きたい…!!」 その思いは、時に川の冷たさをも忘れさせる。
いい天気なので、びしょびしょになった靴も乾きが早い。朽木はちらほらと伺える。めくる。めくる。割る!
冬眠中の[フタモンアシナガバチ]と、[コクワガタ]のギロッポンこと、幼虫30匹超の入った朽木を見つけるも、
[マイマイカブリ]はなかなかどうして見つからない。
川を上流のほうへと上り、「湿り気が適度にあり、硬すぎず柔らかすぎない朽木」を探すことしばし。
まずはじめにT治、続いてO山が[マイマイカブリ]を1匹ずつ採集。上品な漆の黒い胴体に渋く輝く青の頭である。
なんでも、「意外に乾燥した木にもいた」のだとか。樹皮をめくったその下にいたようだ。
コクワとアオゴミは死ぬほど見つけるも、未だノーマイマイの自分は冬眠中の[キイロスズメバチ]を手に入れた。
日野でOとTが[アオゴミムシ]を冷めた目で見ていた理由がよく分かりました。
↑那珂川・那須塩原市(栃木県)

↑朽木の中から。目があったとき寿命が縮んだ。
空が完全に黒く染まる前に、ずぶ濡れの靴を引きずり引き揚げる。明日に備え少しでも北上しようと、その日は
『郡山』駅の漫画喫茶で1泊する。
3/22
虫採りの朝は早い。さよなら福島県。 『郡山』駅を出る。『福島』につく。まだ北へ。・・・『宮城県』に突入である。
さて、川沿い(なぜ川沿いなんだろう?湿り気がすきなのかな?)の朽木をアタックする戦法は変わらない。
ただここでチェックすべきは、そのマイマイカブリの「色」。ネタばれすると[キタカブリ]は緑に赤なのである。
意味不である。「黒地に青」から「緑地に赤」へ。 ここはその始まり、中途と言ってもいいポイントなのである。
②白石市(宮城県)with白石川(阿武隈川)
少し歩き、橋を渡・・・らない、手前から道を逸れ、崖をずり降りる。過去の洪水で築堤が崩壊した後の砂利道?
とのこと。まぁ、両側に笹だか竹だか茂っていて、あまり「それっぽい」朽木は多そうには見えない。
と思った私。いや俺様。
↑白石川(阿武隈川 左岸)
今日、1本目の朽木から。遠征初の自分で捕まえたマイマイなので凄くうれしい。
これは本日 大勝利か・・・?とにやけるも、印象通りどうもここらへん、朽木が少ない。
フレーク状…まで言わなくても、あまり乾燥しすぎていない、硬すぎず柔らかすぎない立ち枯れ、朽ち木が欲しいのだ。
竹を取りにきたおじさんに見送られながら、早めにここを切り上げる。
②-白石市その2(宮城県)with白石川(阿武隈川)
電車が目の前でホームから走っていく…。たっぷり数十分待たされて、東北本線で隣の駅へ。
ホームを出て、50番道路を東北本線を南下するように、川沿いに歩いてみる。
左手にはあわよくばオサムシの掘れそうな崖。右手には小高い土手に続く線路。
少し進み小さい支流の川をこえる。「さすが阿武隈川…。」やんぬるかな。川幅は太く流れは強し。
いい感じに木の集中しているところを求め、川を縦横無尽に渡っていた『黒磯』のようにはいかぬ。
望みあり気な中州にも渡れず、こちらにあるのはただ野バラ。「仕方ない、対岸に渡ろう。」
五輪沢の方へと引き返す。駅を過ぎ、自動車整備工場へと続く橋を渡る。
白石川でいうのなら、奥州街道側を南下していくわけである。何かを焼いたあとだろうか?
南下中の川辺は雑草もススキ?のような茎も倒木も、みんな黒こげ。
↑「阿武隈川に靴を持っていかれた。」T冶。仙台まで片足をビニールで包んで行く羽目に。
道が支流に沿って右に曲がるところで橋がある。そこを超えた辺りの朽木でガサガサ。
コメツキ幼虫・・・。テッポウムシ・・・。何かのゴミムシ・・・。疲労は重なり、自販機の炭酸が旨い。
気がつけば日は傾き、我々に時間が迫る。駅へと走り出しす。(電車出発まで十数分)
息を切らして橋を渡ると、目の前で踏切が閉まる。思わぬタイムロス・・・!じゃないっ、電車が目の前 横切ってるー!!
敗者の足取りは重く、その足はふと駅前、例の「右手の崖」に横たわる倒木朽木に目が留まる。
「つんつん・・・」「!」(これはいけるっ) [アカスジキンカメムシ]の羽を見て彼らの目に10時間前の光は戻る。
「むしろ、電車を逃して本当に良かった。」「余裕。」「舐めんな。」「灯台もと暗しとはこのこと」「敗北を知りたい」
[クロナガオサムシ][アカガネオサムシ][コクワガタ]etc・・・を追加して、明日に備え北路につく。
今日を終えてみれば何気にT治がマイマイを追加していた。この男、今回、各地マイマイをコンプリートする。
↑いつのまにか取りやがっていた。 言われれば首もとが紫っぽい・・・か!?
明日はいよいよキタカブリ。
始発、早朝からまる1日、日暮れまでキタカブリのポイントで採り放題。これが連泊遠征なのか・・・!
3/23
『一関』駅のカラオケで朝を迎える。「おジャ魔女カーニバル」もきっちり仕上げた、足も動く。・・・出陣だ。
降り立つは③『北上』市(岩手県)with北上川(和賀川)。
今回のポイントとなる川は、「和賀川」と「北上川」である。
駅を出て、川を目指す。地図を見る限り、中洲もあり、木も乱立している。立ち枯れだってあるだろう。
川を横切る奥州街道(陸羽街道)を渡り、ずり降り、川沿いの朽ち木散策。 ま・・・まだ、雪が積もってるっ
厚着だけど寒い。さてさて、「いい感じ」の朽ち木はあるにはあるのだが、マイマイさんはいらっしゃらない。
朽ち木発見→割る→剥がす→ この繰り返しで、コクワやカブトムシ(←大きい!)の幼虫は沢山見つけたけれど、
メタリックグリーン&レッドは現れない。なにぶん雪解けで朽ち木が湿りすぎている感触も否めない。
(ああ、「朽ち木が土に還る」という自然のサイクルには、確実に虫採り好きの手が介在しているのだなぁ)
そんな感慨と[アカガネオサムシ]×2の収穫だけを得て、対岸から中洲へと足を向けたのだ。
↑ブロックを渡る。奥に見えるのが奥州街道
それから2,3時間後・・・。いない。「雪が最近まで積もっていたなら、立ち枯れで地面より少し上辺りを攻めれば・・」とかナイナイまいまい!中州にも早々と見切りつけ、土手を転げまわり、ちょっとせせらぎ公園の方をこんにちわして
気がつけば「キタカブリとかあんな色、誰かが着色したに違いねぇ説」がまことしやかに唱えられていた。
ホテルと工場を繋ぐ道路の角、和賀川と北上川の合流地点。(竹の製作所の辺り)
O山はいつも通り1人藪の奥のほうへと姿を消し、T冶が川の近くへと朽ち木を探しに行った折である。
昼飯を終え、コンクリートから河川敷の草ぼうぼうへと帰って?いった私は、いい感じオブいい感じの朽ち木を
発見したのである。地に横たわるその朽ち木は完全に「フレーク状」で、しゃべるなど使わずして、
数多のゴミムシ、オサムシ類を手に入れることが出来たのである。
(これは当たりか??)ここ掘れワンワン状態の僕に背後からの声。 「・・・ムシ採りですか?」
何回か虫採りにつき合わせてもらった経験上言えるのは、
彼らは(我々は)通常、人が入るはずのないようなところで、わけのわからない行動をしているということだ。
特定の時期、特定の場所の特定の条件の藪の中。
関東から来た学生と、仕事を終え近畿から来たおじさん(既にキタカブリ数匹GET)は出会う。
「ここと向こうの川沿い(和賀川沿い、奥州街道へと進んでいく道沿い)の立ち枯れの樹皮を捲ったらいましたよ」
―――キタカブリは実在した!! 草木奥深くからOとTを呼び寄せ周知、気合いを入れなおし、
北上川→和賀川へと朽ち木を物色しながら進んでいく・・・!
バリバリバリイッ・・・!! 「あっ大きいコクワだぁ」 「いねぇかなぁー?」
1度に3匹、3人のもとへ落ちてきた。
その年、間違いなく最高級にテンションの上がった瞬間である。→計5匹。
「追加が欲しい・・・」人間とは欲深い生き物である。北上川を東北本線沿いに少し北へ歩き、途中で白鳥の家族を見てほのぼの余裕を持ちながら。
(↑鉈を片手に、怪我をした白鳥を見守るO)橋を渡って、立花方面、展勝地を散策するが、キタカブリの追加は得られそうにはなさそうだ。クロナガオサムシはたくさんでてきたが。途中、目ぼしい木をいくつか見つけるも、同業者に割り荒らされていた。あくまでここは公園なのだし、最低限のマナーは守りたいものである。
その日1人2匹のキタカブリを確保した我々は、中間色、ブラック+赤紫のマイマイを補充するために、
そして次の日帰るための中途として、2度目の『仙台』駅に降り立った。3度目の松屋で腹を満たし、
漫画喫茶で床?についた。
3/24
④『仙台市』with名取川
この日、私とTは敗北を知った。Oの5匹を除きマイマイなど皆無、ズボンは裂け、川に落ち、駅に走り・・・。
ついでにTのしゃべるが壊れた。いや壊した。僕です。ごめんなさい。
以上、本筋でない部分が多くなってしまったのでここらで報告を終わりとさせていただきます。
長文駄文失礼致しました。思い出せる範囲で書き出したつもりです。
マイマイカブリ、キタカブリを狙う方もそうでない方も少しでも情報の足しとなれば幸いです。